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INTERVIEW 川上淳也(「SEVEN BY SEVEN」デザイナー)

INTERVIEW 川上淳也(「SEVEN BY SEVEN」デザイナー)

2020.12.10 / SEVEN BY SEVEN

サンフランシスコは7mile×7mileに収まることから、別名「SEVEN BY SEVEN(セブンバイセブン)」と呼ばれていた。デザイナーの川上淳也さんが、サンフランシスコでその呼び名をよく耳にし、響きを気に入ったのがブランド名の由来だ。10代の頃から単身渡米し、サンフランシスコのローカルエリアで、地元の人々に交じって古着を取集する日々を送った。その時の体験談や、その中で感じた日本との価値観の違い、川上さんが尊敬する方々との出会い、そしてその生活が今のデザインにどう繋がっているのか、詳しくお話を伺った。



Dice&Dice(以下D):川上さんがサンフランシスコに住んでみて感じた、日本との違いについて教えてください。例えば、その当時の流行などについて。

川上淳也さん(以下川上さん):僕が行ったのは90年代後半なんですが、日本みたいな、いわゆるファッションの流行っていうのは、特に何もないなという印象をうけましたね。日本みたいに今これが流行っててとかはあまり感じませんでしたね。あったのは、ファッションっていうよりもカルチャーですね。スケーターだったり、メッセンジャーだったり、どちらかというとそれぞれのカルチャーに対してのスタイルですね。まあ、その中で流行りがあったのかもしれないけど、当時の日本みたいに裏原が流行ってたりとか、ヴィンテージブームとか、そういう感じは明確にはなかったですね。

D:もちろん洋服屋はあったんですよね?

川上さん:ありましたよ。新品のセレクトショップもありましたが、僕はほとんど古着屋ばかり行っていました。当時は新品なんて買えるお金もなかったし(笑)。

D:当時のサンフランシスコの古着屋には、面白い人たちが集まってたんですか?

川上さん:自分流のスタイルを提案している人達が多くいて、面白かったですよ。凄く奇抜な人もいるし、カッコいいやつもいたり。凄く刺激を受ける場所でしたね。

D:ちなみに、当時の新品屋には何が置いてあったんですか?

川上さん:何があったけな。まあでも、王道のアメリカンブランドや、ローカルブランドがあったり、いろいろありましたね。2000年前後くらいかな、カストロっていう、ゲイの集まる街があるんですが、マルジェラとか、ヘルムートラングとか、その当時の旬なデザイナーブランドがいろいろ置いてありましたね。僕は到底買えるような生活をしていなかったから、見に行くだけみたいな。だけど、それが古着として古着屋に出てきたりするから、それを買ったりとかしていましたね。

D:そうやって、日々古着を買い集めていたことが、後々仕事に繋がっていくんですね?

川上さん:そうですね。まあ初めは商売でやろうとは思ってなかったんです。たまたま、趣味の延長が仕事になっちゃったような感じです。



D:当時の生活は具体的にはどんな感じだったんですか?

川上さん:友達と部屋をシェアして住んでたんですけど、どんどん古着を買って部屋に集めてたんです。二つ折りに畳んだ服が壁になってましたね。そんな部屋で寝てましたね。当時から、なにが流行ってるとか、価値があるとかではなく、誰かに教えてもらうとかじゃなくて、自分の感覚で古着を買ってました。だいたい、そんなこと教えてくれる人もいなかったし(笑)。仕入れ先が数軒あって、そこでいろいろ買って来ては「今日はこれゲットできた」みたいな感じで、夜な夜な楽しんでましたね。当時は、すごく変な物も沢山買ってましたね(笑)。

D:集めた古着は、また別の人に売ってたんですよね?

川上さん:いいえ。最初は、自分のために収集してただけですね。

D:自分のために集めてただけですか?それもすごいですね。

川上さん:確かにそうですよね。しかも、すごい大量に。ただの変態ですね(笑)。

一同:(笑)

川上さん:まさかそれが商売になるとは思ってなかったですね。ある日、久しぶりに日本に帰ることになって、服を見に行こうと思って、東京に帰国したんですけど、その時90年終わりか、2000年ぐらいで、ちょうど日本は新しい古着ブームが来てて。その時は、自分の中で「go-getter(ゴーゲッター)」がやっぱりすごく面白かったんですよね。もともと尾花さん(「n. hoolywood」デザイナー)がいたところなんですけど。たまたま面白そうだなって思って入ったら、そこで松田さんって人と出会うんです。go-getterで尾花さんとツートップでいた松田成人さんって人。今も岩手に戻ってブランドとショップをやられてるんですけど。その人と初めて会ったんですけど、話が盛り上がって店に1~2時間居てしまって。そこでも結構いろいろ服を買ったんですけど、勝手ながら自分がピックしてる古着のテイストとすごく似てるなと思ったんです。古着ってヴィンテージ物だからいいって価値観を持つことが多いんだけど、僕から見て松田さんとか尾花さんは、スタイルで古着を提案されてて凄く新鮮だったんです。それこそ、ヴィンテージだから価値があるとかじゃないんですよね。それで松田さんに「サンフランシスコに買い付けに来てください。部屋に良い古着いっぱいありますよ」なんて言ってたんです。その後、自分がアメリカに帰国してからLAのローズボールで友達のディーラーの出店の手伝いをしていたら、たまたま買い付けに来ていた松田さんと遭遇して「何してんの!」ってなったんです。そしたらいきなり松田さんが「家行っていい?」なんて言ってきて。次の日、本当にサンフランシスコの自分の家に来たんですけど、部屋に大量の古着がめちゃくちゃあるから「なんだこいつは?」みたいになっていましたね。自分の選んだ古着も凄く気に入って購入してくれて。松田さんが帰った後は、壁みたいに積んであった服がほとんどなくなってましたね。

D:全部買ってくれたってことですか?

川上さん:そうそう。ほとんど買ってってくれました。その後は定期的に松田さんが買い付けにサンフランシスコに必ず来るようになって、3~4日うちに泊まって、僕がセレクトした古着を買ってくれたり、一緒に買い付けを回ったり、手伝ったりするようになったんです。

D:川上さんのピックアップするセンスを気に入ってくれたってことですよね?

川上さん:そうですね。だから次は何集めた方がいいですか?って一応聞くんですけど、もう好きなものでいいよって、俺が思うのでいいよって言ってくれて。



D:その時買い付けていたのは洋服だけではなくて、雑貨とかもですか?

川上さん:雑貨も一緒に集めましたね。雑貨は徐々に集めはじめましたけどね。松田さんを通して色々ディーラーに会ったり、アメリカに住んでる日本人の先輩だったり、外国人の友達とかの家に遊び行ったりすると、とにかく部屋がかっこいいんですよ。生活スタイルも全部。それもなんか変に作られてないというか、すべて日常の中に自然とはまってて、すごく素敵でした。別に価値とか有名か無名かということでもなく、自分の本当に好きなものを生活の一部にとりいれて、自分たちのものにしちゃってるというか。すごく新鮮で素敵でしたね。

D:具体的にはどんな感じですか?

川上さん:例えば「CHEMEX(ケメックス)」のコーヒーメーカーとか。すごくシンプルでアナログなコーヒーメーカーなんですが、ヴィンテージの価値のあるものを日常的に自然に使ってたり、コーヒーカップも「HEATH CHRAMICS(ヒースセラミックス)」っていうサンフランシスコの有名なビンテージカップで飲んでたりとか、その日常の中に取り入れているリアルさに刺激を受けてしまいました。それが当たり前になっているっていうか、本当に生活の一部になってて、憧れじゃなくてリアルですよね。それがすごくカッコよくて。そういう環境を身近で見て感じて、価値観が変わっていきましたね。服への感覚も同じように変化していきましたね。

D:川上さんが住んでいたのはダウンタウンですか?

川上さん:そうですね。ダウンタウンの近く。けっこう危ないところでしたね。

D:これはやばかったみたいなエピソードはありますか?

川上さん:毎日やばいですよ(笑)。僕が買い付けてたところは、ドネーションって言って全米のリサイクル品が集まるとこだったんだけど、そこで日本人は僕ぐらいしかいないんですよ。みなさんが行ったら普通に引くような環境だと思いますよ。

一同:(笑)

川上さん:立地、建物の雰囲気とかで普通の感覚だと入ろうと思わないでしょうし、入ると本当にホームレスとか、何者かわからないぶっ飛んでる奴とかしかいませんでしたから(笑)。だから毎日のように喧嘩もあるし。ものの取り合いとかで。最初は、僕もかなり引いてましたよ(笑)。



D:みんな買い物しに来てるんですよね?

川上さん:みんな生活のために来ていましたね。趣味で来ているのは僕くらい。ほとんどの人達が、そこで良いものを見つけられるかに、生活がかかっているような人達だらけでした。また、そこを仕切ってる元締みたいな、白人のディーラーが一人いて、みんなに目的の商品を探させて買い占めるみたいな。その白人ディーラーのお客の大半は日本人の古着屋さんで、ヴィンテージアイテムの他に501とかパタゴニアとか、明確に日本で人気商品だけ買っていくんです。

D:なるほど、その元締めにみんなコントロールされているんですね。

川上さん:そうそう。そのディーラーの目的の物を、いかに多く見つけれるかで、収入がかわるみたいな。生活がかかってるから、みんなクレイジーになって、リーバイスの501とかパタゴニアを探してるんです。それがお金になるって教え込まれてるから。だから服の取り合いになって喧嘩も頻繁におこってましたね。そんな中で、自分は新しい価値感を見つけながら、マイペースに古着をあさってました。

D:川上さんも売ったりしてたんですか?

川上さん:そうですね。僕はほとんど、知り合いになったごく一部の日本人の古着屋にしか卸してなかったけど、もうちょっと日銭欲しいなって時は、それこそ、そのアメリカ人のディーラーに売ったりとか。あと、現地のの古着屋さんも買ってくれるところがあって、売りに行って日銭稼いだりはしましたね。



D:いいのを見つけたら高く買ってもらえるんですか?

川上さん:そうそう。だから、いいのを見つけたら、その日の夕飯がレベルアップするっていう。毎日そんな生活してました(笑)。チャーハンだけの日もあれば、チャーハンにおかず、ビールが付く日もあるみたいな、ビールもバドワイザーからハイネケンに変わるとかね(笑)。

D:そういう生活が何年くらい続いたんですか?

川上さん:2~3年ぐらいかな。良い思い出ですね。そこでの時間があったから、SEVEN BY SEVENにつながることができましたね。物の見方、考え方など全て。日本にずっといたらこうはなってなかったでしょうね。

D:送ってもらったサンフランシスコの写真に、靴履いてない人が写ってたんですけど。

川上さん:ああ、エリックね。彼は、僕の師匠です。(笑)。

D:あれはサンフランシスコでは普通の光景ですか?

川上さん:あの時はね、不意をつかれたのか分かんないけど、なんか靴履いてなかったんですよ(笑)。その時、僕は服見たかったから、一人で古着屋に入って行ったんですよ。僕以外の撮影スタッフは外でタバコ吸って待ってたんですけど。もう外は真っ暗で、天気も悪くて、しかも僕が連れていくところ変なところばっかりだから、みんな不安がってたんです。そしたら、後ろの方で誰かがなんか発狂してて。僕も気付いてたんだけど、まあいつものことだからいいかと思って無視してたんですよ。そして、お店を見終わって外に出たら、さっきのやつが、でっかい声で僕の名前叫んでて、それがエリックだった(笑)。あの見た目で、すごく大きい声で何回も叫んでるからみんな引いちゃってて(笑)。俺が出て来た瞬間「おお!エリックひさしぶり!」つって握手してたら、みんなさらに引いちゃうみたいな(笑)。 

D:なんで川上さんはそういうローカルの人たちと仲良くなれたんですかね?

川上さん:うーん。やっぱり僕が良いやつだから(笑)。ちゃんとエリックに対してリスペクトを持って接してたし。本当にセンスがすごくて尊敬してましたからね。



D:エリックさんは何者なんですか?

川上さん:リアルヒッピーですかね。前歯ないですからね(笑)。

D:師匠に何を教えてもらったんですか?

川上さん:教えてもらったというか、背中で見せてくれてましたね(笑)。商品も沢山買わせてもらったし。

一同:(笑)

川上さん:もちろん何も教えてくれないですよ。本人もなんでこの商品をピックしてるとか、わかってないでしょうし(笑)。目で盗んで、買って学んでって感じですよね。本当にすごくセンスいいんですよ。日本の古着屋さんて、このディティールがこうでとか、この年代でこうだから高いとかの基準が強いじゃないですか。エリックはそうじゃないんですよ。みんなが同じ環境、同じタイミングでものを探す中、エリックはみんながピックした後の残りからものすごいものを見つけるんですよね。すごいビンテージ物とか、不思議なんだけど、すごくかっこいいものとか。みんな同じ環境にいるのに、彼にしか見つけれてないんですよ。僕らは焦って、必死になって入荷してきたものを、真っ先に掘りまくってるのに、エリックはマイペースに落ちてる服をずっと漁ってるわけ。それで後で「エリックちょっと見せて」って言って見せてもらうと、すごい物を持ってるんですよ。「これヤバイ!!」って物を。ヴィンテージだとか、日本で価値があるっていうものじゃないんだけど、エリックのセレクトセンスは、今のファッションに通じるものばっかりでしたね。エリックにはそういうのをずっと近くで毎日見せてもらって視野を広くしてもらいましたね。

D:エリックさんはなんでセンスが良かったんですかね?

川上さん:なんでしょうね。やっぱり、お薬で違う世界が見えてるんですかね(笑)。

D:エリックさんは、アーティストだったり詩人だったり?

川上さん:僕が見てたかぎり違いますね。まあ、ある意味死人みたいなもんでしたが。

一同:(笑)



D:写真にはフリーマーケットみたいなところにもいかれていましたけど、川上さんも当時そういうところでも買い付けしていたんですか?

川上さん:はい。よく行ってましたよ。

D:そこにも古い友人の方が現れてましたね。

川上さん:彼はヨーロッパの方からアメリカに亡命して来た人ですね。名前はど忘れしちゃいました。買い付け場所には、いろいろな事情を抱えた人が多かったですね、メキシカンとか家族で赤ん坊まで連れて古着をピックしに来てて、5~6人でいるんですよ。人数が多く一番勢力が強かったですね。

D:すごいですね。アメリカ。

川上さん:すごいですよ。超多国籍。



D:日本に住んでいると、亡命と聞いても遠い世界の話だと思ってしまいます。

川上さん:そうですよね。他にもいろいろな事情を抱えている人達も沢山いて。みんな必死でしたね。アメリカにいるんだけど、いろいろな国の状況も知れて、それはあまりない経験でしたね。毎日、テレビ番組の「ノンフィクション」を見ているようでした(笑)。

D:嫌われたりはしなかったんですか?日本人は少なかったでしょうし。

川上さん:どうなんでしょう。でもまあ、彼らからしたら僕が入ると、ライバルが一人増えることになるから多少は嫌だったんだろうけど。自分も嫌でしたもん。新参者が来ると「わぁ、やだな」と思ってましたし。同じ気持ちだったんでしょうね。だけど、古着の知識を教えてあげたり、日本人のバイヤーが何を欲しがっているかとか教えてましたから、比較的にみんなからは好かれてたと思いますよ。




■「Rooster King&Co.」松崎幸臣さんとのコラボレーションについて


D:松崎さんとは、サンフランシスコで出会われたんですか?

川上さん:サンフランシスコじゃなくてLAですね。それこそ松田さんに紹介してもらったんですよね。それからLA行くたびに遊びに行ったりして、それで仲良くさせてもらいました。

D:松崎さんのLAの家はすごかったんですか?

川上さん:マツさんの家は本当にすごかったです。その時マツさんは「SMELLS LIKE」っていうブランドをやってて、ご自身で描いた絵とかコラージュとかを刷ったTシャツを全てハンドメイドで作製したりしてたんだけど。それも本当にカッコよかったですね。マツさんが描いた絵とかすげえカッコいいんですよ。アトリエとか行くと、自分で描いた絵が飾ってあて。しかもそれがほとんど独学だから、さらに凄い。 

D:松崎さんとのコラボが始まったのは川上さんからですか?

川上さん:そうです。マツさんが日本に帰国されたのを知って、SEVEN BY SEVENを立ち上げたタイミングに、僕から連絡をさせてもらいました。

D:2021SSでラインナップされるRooster King&Co.とのコラボアイテム「GEOMETRIC DRAWSTRING BAG」ついて教えてください。



GEOMETRIC DRAWSTRING BAG / BROWN



GEOMETRIC DRAWSTRING BAG / BLACK

川上さん:Rooster King&Co.の他にはないハンドクラフトの素晴らしさをSEVEN BY SEVENに協力してほしくてコラボレーションをお願いさせて頂きました。コラボレーションさせてもらい始めて数シーズンたちましたが、今回は今まで以上に沢山の人に渡っていけるようなアイテムを意識して作製しました。おこがましいですが、もっとより多くの人にSEVEN BY SEVENとRooster King&Co.を知ってもらいたいという想いで作製してます。今回はプライスも含めてすごく良い落としどころのものができたと感じております。かなりマツさんには生産上で無理して作製してもらっていまして。冗談ですが、マツさんから「手の皮が剥けたから、治療費払って(笑)」て僕にLINEが来るぐらいでした(笑)。

D:松崎さんは、文字通り身を削って頑張ってくれたんですね。

川上さん:そうですね。たいへん好評で、すごい生産数になってますからね。うれしいかぎりです!

D:あの形でお願いしたのは川上さんからですか?

川上さん:そうです。もちろん細かくは言わなかったんですが、オリジナル生地を使って巾着バッグを作製するにあたり、足りない部分をマツさんにブラッシュアップして頂きました。ヴィンテージビーズの使用や、すべて手作業による編み込みレザーの持ち手など、どこをとっても凄いです。マツさんは、やっぱりすごいなと感心させられました。

D:多くを語らなくても伝わる感じは、アメリカで同じ時を過ごした同士だからでしょうかね?

川上さん:そうじゃないでしょうか!そうだと思います!そう思いたいです! (笑)

D:そうですよね(笑)。

川上さん:でも、ほんとにマツさんってすごくフラットですよね?性格もそうだけど、作品も強い芯とスタイルがあるのに、でもコラボレーションの時は、ブランドのことも凄く考えてくれてバランスをとってくれるし。すごい人ですよね。そう思うでしょ?

D:思いますね。僕たちとも分け隔てなく対等に話してくれて、ほんとに素敵な方だなと思います。

川上さん:名だたる大先輩のデザイナーさん達とのコラボレーションもわかりますよね。すごいですよね。


■「SEVEN BY SEVEN」2020FWコレクションについて




D:20FWの面白いコンテンツのひとつとして、アーティスト下田昌克さんとのコラボレーションがありました。川上さんから見た下田さんの人物像、印象について教えてください。

川上さん:真のアーティストですよね。失礼ですが本当に子供のような純粋差さが魅力的ですし、作品からもなにか、やさしさ、ポップさなど下田さんの人柄が全部合わさって出来てるというか。本当に素敵ですよね。下田さんも海外を放浪していた方ですし、やっぱりそういう部分も少なからず自分と通じるところがあるのかなと思いますね。

D:今回のルックは、ブランドのルーツであるサンフランシスコで撮影されたと聞きました。すごくかっこいいルックだったんですが、撮影はどういう感じで進んだんですか?

川上さん:スタイリングは事前になんとなく決めてたんですけど、モデルをストリートハントしていくということで、正直どうなるか分からないから、色々とその時の現場の判断で決めていきました。本当は、靴は下田さんとコラボしたスニーカーを履かせる予定だったんですけど、たまたまスタイリングを組んでた色合いと、同じような配色のスニーカーをモデルが履いてたりとかして「靴面白いからこれにしようぜ」とか、状況によってガンガン変更しちゃいましたね。そのハプニングが面白くて。本人が身につけてたアイテムを着せると、不思議と他のアイテムも突然リアルになるのも面白くて。あと、突然の撮影をお願いしても自分のスタイルで、ちゃんとポージングしてキメてくるんですよね。それも面白かったですね。素人なんだけど、プロモデルみたいに瞬時にちゃんとカッコつけてくれるんですよね。



D:モデルの方はプロじゃないんですか?

川上さん:違うんですよ。現地の友達とか、古着屋さん、その辺で滑ってたスケーターとか。いろいろですね。中には、グラミー賞を二回も受賞しているミュージシャンもいますし(笑)。

D:それはその場でスカウトして?

川上さん:そう。その場で声かけて。例えば、コート着てた黒人の女の子いますよね。彼女はアンティークショップで働いてる、僕の友達なんですよ。彼女は、いつも凄くオシャレなんで、コートだけ着てもらって。あとのヘアスタイルとか、コート以外、中に着てるものは全部彼女の私物。履いてたブレザーのハイカットも彼女の私物ですからね。



D:あれカッコよかったですね。ニードルパンチのシリーズで全てコーディネートしたのも良かったですね。

川上さん:ありがとうございます。あれは一番最初の撮影でしたね。彼は僕が良く行ってた古着屋のスタッフ。あと面白いのは、ピンクの髪の子。彼女は学校の先生なんですよ。

D:スタイリングのインスピレーションはサンフランシスコから?

川上さん:撮影をサンフランシスコで撮ろうとなってから、自然と意識してたかもしれませんね。スタイリングだけじゃなく作製するデザインもそうかもしれませんね。ちなみに、今回のストリートスナップは凄く好評でしたね。

D:ですよね。このシリーズは今後定番で続けるんですか?

川上さん:また違う撮影のスタイルでやってみたいですね。今はまだ、コロナ禍で海外もなかなか行けそうにありませんが。



D:今回のコレクションで随所に使われているニードルパンチ生地、今まで見たことのない生地なんですが、こういう生地ってどうやって作っているんですか?

川上さん:生地屋さんとかを色々回って、過去のアーカイブを見せてもらったり、技術面の提案をしてもらったりして、じゃあこういうことできるなっていう繋げ方でオリジナル生地を作製しました。だから、古着などからインスピレーションを受けたりもしますが、どっちかっていうと、人に会ったりとか、生地屋さんに話聞いたり、色々と情報取集をしてからものづくりすることが多いかもしれませんね。

D:ニードルパンチ生地の魅力はどういうところですか?

川上さん:本来の生地が何かぱっと見わからなくなりますよね。あと、掛け合わせる生地によっても、ニードルパンチすることで、思いもよらない感じになったりもするし。デニムなんだけどチェックで起毛してる不思議な生地だったり。あと、経年変化していくと、デニムの色が落ちて行ったり、剥がれて来たりするのもカッコいいんじゃないかなとイメージしたりすると面白いですよね。



D:某有名ブランドのチェックストールを使ったニードルパンチのコートもありますけど、あの生地もすごく希少なんですよね?

川上さん:希少ですよね。あれはUSEDのストールを裁断して使ってます。チェックのパターンもオリジナル柄を壊すために、裁断してあえてチェック柄をずらしてニードルパンチをしたり工夫して、一つと同じものがない生地を作製してます。資材と時間を費やして、かなりこだわって作った商品です。

D:オープンカラーシャツやガウンコートに使われる、ランダムチェックのニードルパンチ生地はどういうものなんですか?

川上さん:定番でよくあるウールチェック柄を組み合わせて、ニードルパンチしていくことで、一つと同じ物のないオリジナル生地へと変化させてます。定番でどこにもありそうなチェック柄がニードルパンチで掛け合わされて変化していて凄く面白いですよね。何でも一から作れば、オリジナルが作れるかもしれないけど、すでに在るものを、違う形に変えて、オリジナルなものが出来たっていうのも嬉しいですよね。サスティナブルっていうか、まあちょっと違うかもしれないけど、残ってるもの、どこにでもあるようなものを、変化させるということは面白いと思いますね。



D:確かにセブンバイセブンには、在るものを再構築して、全く新しいものを作り出すっていうイメージがありますね。

川上さん:もともと自分は古着集めからスタートしたけど、古着ってその時代ではスポットライト当たらないものも、突然違う時代になったら、めちゃくちゃハマるってことありますよね。そういう面白さを、自分は追及していく方がいいかなと思って。過度にデザインをするよりも、自然と感じるポイントを掴んで、またそれをレプリカするんでなく、ちゃんとSEVEN BY SEVENなりにアレンジしていきたいですね。

D:なるほど。サンフランシスコでの経験が、そういうかたちで今のデザインに繋がっていくんですね。

川上さん:そうですね。

D:川上さんの見てきたもの、考え方。ちょっぴり刺激的でしたが、とても共感しました。SEVEN BY SEVENが表現する世界観、これからも楽しみにしています。そして、僕たちも一人でも多くの方に伝えれるように頑張っていきます。本日はどうもありがとうございました。

川上さん:ありがとうございました。

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Text/Edit_藤雄紀

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