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靴下のすべてを知り尽くした男、 Dueple Socks ネイザン・レヴィ。

靴下のすべてを知り尽くした男、 Dueple Socks ネイザン・レヴィ。

2022.06.21 / INTERVIEW

ポップなカラーバリエーションと抜群のはきごこちで足もとに軽やかなアクセントをつくってくれるDueple Socks(デュープル・ソックス)。それもそのはず、創始者のネイザン・レヴィさんはその道30年以上、靴下業界のドンともいえる方でした。

イスラエルのご出身で、イタリアやカナダ、アメリカ、中国など世界中で企画から生産、マーケティングまで靴下のすべてに関わるお仕事を歴任されていましたが、パンデミック以降は故郷のイスラエルを拠点にされています。そんなネイザンさんにズームを介してお話をうかがいました。



市川暁子(以下A):こんにちは! その後、お元気でしたか?

ネイザン・レヴィ(以下N):この歳にもなればポジティブに行くしかないよ。ネガティブなこと考えている時間なんて人生にはもう残されてないんだから(笑)。

A:たしかに。色々ありますけど、ポジティブ思考、とても大事ですよね。そして毎日素敵な靴下をはいていたら、気分も良くなります! 今日はネイザンさんがどのように靴下のビジネスを始められたのかうかがいたかったんです。

N:僕の夢は靴下についての全てを本にまとめること。自分がこの業界に入ってからの30年で靴下は革命的に進化した。繊維業界においては靴下が先陣を切って変革を起こすことが多い、なぜだかはわからないんだけどね。繊維産業の生産拠点がイスラエルからトルコに移ったのも、靴下が最初でした。

30年前といえば、イスラエルのこのあたりには産業がなく、みんな農業をしていた。それで何か製造業を興そう、というので、「靴下を作るのはどうか?」という話になったんだ。当時、イスラエルは繊維産業が盛んになりつつあったのも理由だね。それで最前線の状況をリサーチするためにイタリアへ派遣されたんです。

家族経営で代々技術が継承されてきたような工場へ、ずぶの素人だった僕が行ったものだから、最初は笑われたよ。だけど、1週間くらい粘って毎日毎日機械の動きをずっと見ていたら、ある日パッとその仕組みがすっかり理解できるようになったんだ。工場の人たちは驚いて、僕がスパイかなんかじゃないか? って訝しがったほど(笑)。それ以来、3ヶ月に1回はイタリアへ足を運んで、新しい靴下の技術を学ぶようになった。



A:それでイスラエルに靴下の工場を作ったんですね。

N:そう、最初は4つ機械を買って始めたんだけど、その後、そのイタリアの会社に誘われて、イスラエルやトルコ、中東などに技術輸出をするエリアマネージャーになったんだ。生産の拠点をトルコに作ったり、欧米マーケットに進出して、CEOになってカナダの会社を買収したり、ナイキとかスポーツブランドの靴下を作ったり。話せば長いんだけど……。

A:Dueple Socksはどのように誕生したのですか?

N:靴下を製造するには2種類の機械があるんだ。ダブルシリンダー式とシングルシリンダー式。ダブルシリンダーは60〜70年前、主にイギリスで使われていた様式で、当時は9割以上がダブルだったけど、その後、イタリアがよりシンプルな生産過程のシングルを開発して、その後は主流になっていった。自分も靴下のビジネスを始めた頃はシングル式を世界に広めていたんだ。

ただ、僕のように靴下を真に愛している輩にとっては、リアルな靴下といえばダブル式でしか作れないことは知っているんだ。右と左の形がちゃんとあって、一回はいたら、もうシングルには戻れない(笑)。編み方の構造が複雑だから足指へのフィットの仕方が全然違うんだ。Dueple Socksを製造しているトルコには3万台以上の機械があるけど、ダブル式は500しかない。全世界でも5%に満たないんじゃないかな。

ブランドを立ち上げるきっかけとなったのはある夏の日のこと。娘が留学していたベルリンのカフェで、行き交う人たちの足もとを眺めてたんだ。みんなパンツの裾をまくって自転車に乗っていて、靴下がのぞいてた。でもみんな同じような色の靴下しかはいてなくて、「もっとカラフルな靴下をはいたら素敵なのに」って思ったんです。当時カラフルで品質の良い靴下といえば、イタリア製の何百ユーロもするようなシルクのものくらいしかなくて、だったらダブルシリンダーの機械で良質のコットンを使った靴下を作りたい、というので2017年に始めました。



A:リブのピッチを段階的にアジャストすることで脚への圧迫感を排除したモデル、SWITについてはどのような経緯で開発されたのですか? 

N:僕にはとてもハンサムな息子がいるんだけど、彼が若くして糖尿病にかかってしまったんだ。脚のむくみがひどくて、靴下を脱ぐのにハサミで切っていたくらいだった。そこで極力、脚を締め付けないようなデザインを開発した。以来、糖尿病患者はもちろん、妊婦さんたちや立ち仕事の多い職業でむくみに悩んでいた人たちはもちろん、普通の人にも履き心地がいいというので人気になったんだ。

A:ご家族との交流から生まれた製品やブランドのストーリーは素敵ですね。ところでインスタグラムなどに登場している個性的なモデルさんたちはどなたなんですか?

N:みんなブランドの関係者や友達なんだ。もともとは地味な色の靴下しかはかなかったような僕の年代の友人たちも、今ではカラフルな靴下をはくようになったよ。

A:ネイザンさんのお気に入りの色はなんですか?

N:全色持ってるけどね。赤かな! 

interview & text by Akiko Ichikawa

Dice&Dice ONLINE STORE 「Dueple」




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